大阪、梅田でのことです。
旅先で少し時間を持て余していた私は、梅田の百貨店をうろついていました。
その日は蒸し暑く、日差しがきつかったので、
「とりあえずその辺の店でペットボトルの水でも買おう、とにかく今すぐ日陰に入りたい…」
と考えながら梅田の歩道橋を歩いていたところでした。
歩道橋の片隅にぼろぼろの服を着たお爺さんが座っていました。
伸び切った髭に、足元に缶を置いてボーッとしているご老人がホームレスであること察するのは容易でした。
私が今、住んでいる東京でホームレスを見たことがないわけではありません。
今思い返せば、何ら珍しいことではないのかもしれませんが
その日は旅先であったこと、そんな人通りの多いところにホームレスがいると予想していなかったので驚いたと同時に、 こんなに暑い日に日差しをあびながら、呆然としている老人を可哀想に思いました。
私は梅田の百貨店で、冷たい水のペットボトルを2本買い、歩道橋へ戻りました。
お水を1本と千円札を、彼に「どうぞ」と手渡しました。
彼は少しだけ笑って、頭を下げて受け取りました。
暑さに参っていた私は、一旦ホテルに戻り、休むことにしました。
ベッドに転がり、さきほどのことを思い返します。
ホームレスに自分から関わったことは初めてでした。
さきほどの老人の顔が頭から離れずに、スマホでホームレスのことを調べてみました。
検索結果のページにでてきた言葉は
「ホームレスに同情して金を渡すのは偽善者」
「ホームレスに金をあげる必要はない、金をわたすのはドブに捨てるも同然」
「一時しのぎ」
「野良猫に餌をあげるのと一緒」
「努力不足の結果」
愕然としました。
こんなに人と感じ方が違うのかと…。
とてもではないですが、野良猫と人間を一緒には考えられません。
子供の頃に学校の先生にすべての人間は平等だと教わりました。
もしかして、運が悪くてそうなってしまった人だっているのではないかと思います。
そうだとしたら、誰かが助けてあげたっていいのではないかと…。
「そう思うなら、お前が面倒みてやれ」
というような意見もネットでみました。
私もできることならそうしたいです。
ですが、私は女性で、見ず知らずの人を家にいれて世話をするのは怖いです。
「ペイ・フォワード」という映画をご存知でしょうか。
その映画では少年が、ホームレスを家に招いて風呂にいれ、服をあげるということをしています。
善意のバトンをまわしていく映画です。
できることならそういったことをしてあげたい気持ちもありますが、やはり怖くてできませんでした。
ちなみにユーチューバーのジョーブログのジョーさんはホームレスの方を自宅へ招待して、お風呂へ入れて話しを聞いたりしています。
私にはそういったことはできる勇気はありませんが、私にできることを真剣に考えてみました。
ホームレスの仕事をつくり、自立を支援するビッグイシュー
ビッグイシューをご存知でしょうか。
時々駅前で赤いベストと帽子を着た方が雑誌をあげて売っているのを見かけたことはありますか?
私の地元の沖縄では、ビッグイシューを売っているのは見かけたことがなかったので東京に来た時に
「あの人はずっとあそこにいるの?あんな大変そうな仕事あるの?」などと不思議に思っていました。
ホームレスの方だけが売ることができる雑誌がビッグイシューです。
定価350円の雑誌『ビッグイシュー日本版』をホームレスである販売者が路上で売り、180円が彼らの収入になります。最初の10冊は無料で提供し、その売り上げ(3,500円)を元手に、以降は1冊170円で仕入れていただく仕組みです。
ビッグイシュー日本より引用
ビッグイシューは、いつも豪華な国内外のアーティストが表紙を飾っています。
紙面にはインタビュー記事も。
薄い小冊子と思いきや中身は意外としっかりした記事が並んでおり興味深いです。
先日は英国俳優のベネディクト・カンバーバッチ氏が表紙を飾っており、アメコミ映画が好きな私はDr.ストレンジやシャーロックを演じている彼が表紙で大喜びして買いました。インタビュー記事も面白かったです。
ホームレスの方にどうやって支援していいのかわからない。
そんな方はビッグイシューを売っている販売員を見かけたら、買ってみてはいかがでしょうか。
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